
ミラノ・コルティナ五輪、ご覧になりましたか?スキージャンプ女子ノーマルヒルでの丸山希選手の銅メダル獲得、本当に感動しましたね!あの極限のプレッシャーの中で結果を出す姿には、ただただ敬服するばかりです。
そんな丸山選手の活躍を見ていて、素晴らしいジャンプと共に、ふと口元に目が留まった方も多いのではないでしょうか。ネット上でも「八重歯がかわいい」「歯並びが少し気になる」といった声が散見されます。私自身も職業柄、どうしても細部まで観察してしまう癖があり、その特徴的な口元には以前から注目していました。
「矯正はしないのかな?」「噛み合わせは競技に影響しないの?」

そんな疑問を持つ方のために、今回は単なる見た目の話ではなく、スポーツ歯学や運動生理学の視点も交えながら、丸山希選手の歯並びと競技パフォーマンスの関係について、私なりに深掘りして考察してみました。
記事のポイント
丸山希の歯並びと八重歯が注目される理由

まずは、多くの人が関心を寄せている「見た目」の側面から整理していきましょう。丸山選手の口元がなぜこれほど話題になるのか、そこには単なる個人の特徴を超えた、文化的・環境的な要因がいくつか絡み合っているようです。
八重歯が「かわいい」とされる日本独自の文化的背景

丸山希選手の口元の大きな特徴といえば、やはり左右の八重歯ですよね。実は、この八重歯を「かわいい」「チャームポイント」として肯定的に捉えるのは、世界的に見ても日本特有の文化だと言われています。
海外、特に欧米圏では「整った歯列=ステータス」という価値観が強く、八重歯はドラキュラのイメージとも重なるため、早めに矯正治療を行うのが一般的です。しかし日本では、アイドルやアニメキャラクターの影響もあり、「未完成の美」や「愛嬌」の象徴として親しまれる傾向があります。
丸山選手の屈託のない笑顔から覗く八重歯は、厳しい勝負の世界にありながら、ふとした瞬間に見せる「親しみやすさ」を強調し、ファンを惹きつける要素の一つになっていると言えるでしょう。
雪上競技特有の「歯が黄色に見える」映像のメカニズム

ネット検索の関連ワードを見ていると、「歯が黄色い」という少しネガティブなキーワードを目にすることがあります。しかし、これを「ケア不足」と決めつけるのは早計です。長年カメラや映像に関わってきた私の視点からすると、これは「雪上競技特有の光のコントラスト」による影響が非常に大きいと考えられます。
【歯が黄色く見えやすい環境要因】
- 強烈な雪面反射:ゲレンデの雪はレフ板のように光を反射し、周囲を極端に明るくします。
- 白いウェアとの対比:純白の雪やウェアと並ぶと、人間の自然な歯の色(アイボリー)はどうしても相対的に黄ばんで見えてしまいます。
- エナメル質の透過:寒さや乾燥で歯の表面のエナメル質が透明度を増すと、内部の象牙質(黄色っぽい色)が透けて見えやすくなることがあります。
つまり、テレビ越しに見える色は、照明条件やカメラのホワイトバランス調整によって強調されたものであり、実際の肉眼での印象とは異なる可能性が高いのです。
高梨沙羅の変化と丸山希の比較

スキージャンプ女子といえば、やはり高梨沙羅選手の存在は外せません。高梨選手もデビュー当時はあどけない印象でしたが、年を追うごとにメイクやファッションが洗練され、大人の女性へと変化していきました。
こうした「トップアスリートの美容事情」への関心は高く、丸山選手に対しても同様の視線が向けられがちです。ただ、高梨選手の変化がメイクアップを中心としたものだったのに対し、丸山選手の場合は今のところ「自然体」の印象が強いですね。同じ競技者でも、セルフプロデュースや美容へのアプローチは人それぞれ異なります。
比較することで見えてくるのは、どちらが良い悪いではなく、アスリート個々の「自分らしさ」の表現の違いなのかもしれません。
矯正しない理由は競技感覚の維持か

「なぜ矯正しないの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。一般人なら「見た目を良くしたい」で済みますが、トップアスリートの場合、事情はもっと複雑です。私が最も有力だと考える理由は、「競技感覚(フィーリング)の維持」です。
歯列矯正を行うと、噛み合わせが変わり、口の中の感覚が劇的に変化します。人間の身体は非常に繊細で、わずかな重心のズレや筋出力の変化が、ジャンプのタイミングや空中姿勢に影響を与える可能性があります。
特にオリンピックやワールドカップといった重要な大会が続くシーズン中に、身体感覚が変わるリスクを冒してまで矯正を始めるメリットは薄い、と判断するのはプロとして非常に合理的です。痛みや口内炎による集中力の低下も、アスリートにとっては無視できない「ノイズ」になり得ます。
ネット上の画像や動画での見え方の違い

最後に、私たちが普段目にする情報の「切り取られ方」についても触れておきましょう。SNSやネットニュースで拡散される画像は、必ずしもその人の全てを表しているわけではありません。
ジャンプ直後の極限状態の表情や、インタビュー中のふとした瞬間を切り取った静止画では、どうしても口元が強調されたり、不自然な角度で写ったりすることがあります。動画で見れば気にならないレベルでも、一瞬の静止画になると「あれ?」と感じてしまう。これはデジタルメディア特有の現象です。
画像一枚で判断せず、競技中の真剣な眼差しや、インタビューでの受け答え全体を見ることで、丸山選手の魅力がよりフラットに伝わるのではないかなと思います。
丸山希の歯並びとスキージャンプの関係【スポーツ歯学】

さて、ここからは少し視点を変えて、私の得意分野である「機能面」の分析に入りましょう。自動車の査定と同じで、外装(見た目)だけでなく、エンジンやフレーム(機能)の状態を見ることが本質を知る鍵です。
スポーツ歯学や運動生理学の観点から、歯並びや噛み合わせがスキージャンプにどう影響するのか、一般的な理論をベースに考察します。
噛み合わせが踏み切りの瞬発力に及ぶ説

スポーツにおいて「歯を食いしばる」ことは、筋力を発揮する上で重要だと言われています。これは専門的には「同時活動増強(Concurrent Activation Potentiation)」などと呼ばれ、強く噛むことで脳の運動野が活性化し、全身の筋出力が向上する現象を指します。
スキージャンプのテイクオフ(踏み切り)は、時速90km近いスピードから、わずか0.1秒以下の瞬間に爆発的なパワーで飛び出す局面です。ここで「グッ」と奥歯で踏ん張れるかどうかは、高さや飛距離に直結する可能性があります。

ただし、必ずしも「歯並びが良い=強い力がごせる」とは限りません。たとえ歯列が不揃いでも、長年のトレーニングによってその選手固有の「噛みやすいポイント」が確立されていれば、十分に力を発揮できるケースも多いのです。
本記事の内容は、スポーツ科学および神経科学分野における複数の査読付き論文を根拠としています。特に、歯の噛みしめ(jaw clenching)が脳の運動野や神経筋活動を活性化し、瞬発的な筋出力を高める「同時活動増強(Concurrent Activation Potentiation)」現象については、実験的研究により報告されています。
主要参考文献(抜粋)
- 歯の噛みしめによる同時活動増強が下肢最大筋力と力発揮率を向上させる
(Rizzato et al., 2024) - Jaw clenching が上肢の等尺性筋力発揮を増強することを示した研究
(Miró et al., 2022) - 同時活動増強(CAP)の神経学的メカニズムと爆発的動作への応用
(Issurin & Verbitsky, 2013) - 歯の噛みしめ動作により運動野の興奮性が変化することを示した脳刺激研究
(Iida et al., 2014)
空中姿勢のバランスと顎位の関連性

ジャンプの飛距離を決めるもう一つの要素が、空中のフライト姿勢です。ここで重要になるのが「平衡感覚」。実は、顎の関節(顎関節)は耳のすぐ近くにあり、平衡感覚を司る三半規管とも密接な関係があると言われています。
顎の位置(顎位)がズレていると、身体の重心バランスや首の筋肉の緊張に影響し、空中での微妙なコントロールを難しくする可能性が指摘されることもあります。

とはいえ、丸山選手は世界トップレベルで戦っている実績があります。この事実は、彼女の身体が現在の噛み合わせに適応し、極めて高度なバランス感覚を既に獲得していることの証明でもあります。人間の適応能力というのは、私たちが思う以上に凄いものですね。
着地衝撃とスポーツ用マウスピースの役割

華麗なテレマーク姿勢を決める着地(ランディング)の瞬間、選手の身体には体重の数倍もの衝撃がかかります。この時、歯と顎を守るために重要になるのがスポーツ用マウスガードです。
最近では、ラグビーやボクシングだけでなく、スキー競技でもマウスガードを使用する選手が増えています。これは単に歯が折れるのを防ぐだけでなく、以下のような効果も期待されています。
【マウスガードの機能的メリット】
- 着地時の衝撃を分散させ、脳震盪のリスクを軽減する。
- 下顎を適切な位置に固定し、体幹の安定性を高める。
- 無意識の噛みしめによる歯の摩耗を防ぐ。
丸山選手が競技中にカスタムメイドのマウスガードを使用しているかどうかは公表されていませんが、もし使用しているなら、歯並びの凹凸に合わせて精密に作られているはずですので、機能的なハンデは最小限に抑えられていると考えられます。
歯列矯正によるパフォーマンス変化の懸念

「矯正すればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、現役中に矯正をすることには、パフォーマンス低下のリスクも潜んでいます。
歯の位置が変われば、当然「噛み心地」が変わります。繊細な感覚で勝負するジャンパーにとって、これまで無意識に行っていた「力の入れ方」が通用しなくなることは恐怖でしょう。ゴルフで言えば、グリップの握り方を突然変えるようなものです。

【矯正による一時的なデメリットの可能性】
- 装置の違和感によるストレスや集中力の阻害。
- 噛み合わせの変化に伴う、首や肩周りの筋肉バランスの乱れ。
- 食事のしづらさによる栄養摂取への影響(一時的)。
これらのリスクを天秤にかけた時、あえて「今のまま戦う」という選択をすることは、戦略として十分にあり得る話です。
丸山希の歯並びと競技力の総合的考察

ここまで見てきたように、丸山希選手の歯並びについては、審美的な視点と機能的な視点の両方から語ることができます。
ネット上では様々な意見がありますが、私の結論としては、「現在の歯並びや噛み合わせが、彼女のパフォーマンスを決定的に阻害しているわけではない」と考えます。なぜなら、結果が全ての世界であるスポーツにおいて、彼女は実際に世界と渡り合い、メダルを争う位置にいるからです。
もちろん、将来的に引退した後や、競技生活の区切りがついたタイミングで矯正を検討される可能性はあるでしょう。しかし今は、そのチャーミングな笑顔と、小さな体から繰り出されるビッグジャンプを純粋に応援したい。そう強く感じます。
丸山選手には、外野の声に惑わされず、ご自身の信じる道を突き進んでほしいですね。私たちも、見た目の一部だけを切り取るのではなく、アスリートとしての全体像をリスペクトして応援していきましょう!


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