アシダカグモが寝るときはどこ?夜の活動と日中の潜伏場所

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アシダカグモが寝るときはどこ?夜の活動と日中の潜伏場所

夜中にふと壁に目をやると、巨大なクモがいてギョッとした経験はありませんか? アシダカグモ、通称「軍曹」とも呼ばれる彼らですが、夜は活発なのに、昼間になるとピタッといなくなる。

「アシダカグモが寝るときって、いったいどこに隠れているんだろう?」

日中、天井の隅や家具の裏でじっとしてる姿を見て、「あれは寝てるの?」と疑問に思うこともありますよね。もしかして、寝るときになるとわざわざ出てくるの?なんて不安になったり。

彼らが家にいる理由、とくにゴキブリとの関係や、アシダカグモ自体の毒の安全性についても気になるところだと思います。この記事では、そんなアシダカグモの「寝るとき」に関する疑問や不安を、彼らの生態から紐解いていきます。

アシダカグモ wikipedia

記事のポイント

  • アシダカグモが夜に活動し、日中に隠れる理由
  • 日中に「じっとしてる」状態の正体
  • アシダカグモが好む具体的な潜伏場所(寝床)
  • アシダカグモの睡眠に関する科学的な話と、家での対策
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アシダカグモが寝るときと活動周期

アシダカグモが寝るときと活動周期

まず、私たちが「寝るとき」と考える日中に、彼らがどこで何をしているのか。その活動サイクルから見ていきましょう。夜行性と言われる理由が分かると、日中の行動も見えてきます。

夜にアシダカグモが出てくる理由

アシダカグモが夜に出てくるのは、彼らが「夜行性のハンター」だからですね。

彼らはクモの巣を張って獲物を待つタイプ(造網性)ではなく、自ら歩き回って獲物を探す「徘徊性」のクモです。そして、その主な獲物こそが、私たちにとっても厄介なゴキブリ

ゴキブリが活発になるのは、私たちが寝静まった夜中です。アシダカグモは、その獲物の活動時間(サーカディアン・リズム)に合わせて行動しているわけです。人間とは生活リズムが真逆なんですね。

夜行性であることは、彼らにとって非常に合理的です。

  • 餌の確保:最大の獲物であるゴキブリが夜に活動するため。
  • 天敵の回避:日中は鳥などの捕食者に見つかりやすいですが、夜間は比較的安全に活動できます。

私たちが「寝るとき」に彼らが「出てくる」のは、彼らにとってはこれからが「仕事(狩り)の時間」だから、ということになります。

日中じっとしてるのは寝てる?

では、日中にアシダカグモがじっとしてるのは「寝てる」んでしょうか?

これは、人間の「睡眠」と全く同じとは言えませんが、「休息」や「潜伏」をしている状態と考えるのが妥当かなと思います。

夜間の狩りに備えてエネルギーを温存しつつ、日中は鳥などの捕食者から身を守るため、安全な場所でじっとしているわけです。この状態が、私たちが「寝るとき」と呼んでいる行動に一番近いものだと考えられます。

「待機状態」としての休息

クモのような節足動物は、哺乳類とは体の仕組みが異なります。彼らの「休息」は、完全に無防備な睡眠というよりは、代謝を最小限に抑えつつも、刺激があれば即座に反応できる「待機状態」に近いのではないか、とも考えられています。

物陰でじっとしていても、近くを何かが通れば(それが獲物であれ天敵であれ)瞬時に反応できるセンサーはオンになっているのかもしれませんね。

アシダカグモが寝る場所はどこ?

日中に休息・潜伏するアシダカグモは、とにかく「暗く」「狭く」「安全」な場所を好みます。

彼らにとって安心できる「寝床」の条件は、外敵から身を守れ、安心して夜を待てる場所。家の中だと、以下のような場所が彼らにとって一等地になります。

アシダカグモが好みやすい潜伏場所

  • 大型家具・電化製品の裏:冷蔵庫、洗濯機、本棚、タンスなどの裏側や下。暗く、狭く、温度変化が少ないため絶好の隠れ家です。
  • 構造的な隙間:天井と壁の間、壁の亀裂、床と壁の間のわずかな隙間(巾木など)。
  • 暗所:押し入れやクローゼットの隅、エアコンの室内機の裏側。
  • 物陰:長期間動かされていない荷物(ダンボールなど)の陰や、物置の中。

彼らは非常に平たい体をしているので、人間が「こんなところに?」と思うような、わずか数ミリの隙間にも滑り込むことができます。

もし日中に姿を見失ったら、まずはこういった「暗くて狭い隙間」を探してみる(あるいは、そこにいると覚悟する)のが良さそうです。

天井や隙間に潜むアシダカグモ

よく「天井の隅にいた」という目撃情報も多いですよね。アシダカグモは壁や天井を自由に移動できるので、天井付近の隙間(例えば、壁紙のわずかな剥がれや、天井の角)も絶好の隠れ家になります。

また、アシダカグモには「ある程度決まった範囲をテリトリー(縄張り)として利用する」習性があるとも言われています。

「いつも同じような場所で見かける」としたら、そこが彼のお気に入りの「寝床」の一つ(縄張り内の安全な休息ポイント)なのかもしれません。彼らなりに、家の中の「安全地帯」をマッピングしているんですね。

アシダカグモとゴキブリの深い関係

ここまで読んでお気づきかと思いますが、アシダカグモが家にいるかどうかは、ゴキブリの存在と深く関係しています。

アシダカグモが家の中に侵入し、そこに留まっている(寝床まで作っている)最大の理由は、そこに「豊富な餌(ゴキブリ)」が存在する可能性が高いからです。

逆に言えば、アシダカグモがいる家は、ゴキブリにとっての食料(食べかすなど)が豊富で、彼らが繁殖しやすい環境が整ってしまっているサインかもしれません。

アシダカグモはゴキブリの天敵として知られ、一晩でかなりの数を捕食することもあるそうです。特にゴキブリの幼体(孵化したての小さなもの)まで捕食してくれるため、ゴキブリの繁殖を抑制する効果が期待されます。

彼らがいることで、家の中のゴキブリが(私たちが知らないうちに)抑制されている側面も大いにあるわけですね。

益虫と呼ばれるアシダカグモの習性

その巨大で迫力のある見た目から「害虫」と思われがちですが、アシダカグモは人間にとって有益な「益虫(えきちゅう)」に分類されます。

彼らのすごいところを、改めて整理してみます。

1. 害虫の捕食

なんといってもコレですね。ゴキブリはもちろん、蛾、ハエ、カ、あるいは他の小さなクモなど、家屋内の不快な虫を積極的に捕食してくれます。まさに「家の守護神」や「軍曹」と呼ばれる所以です。

2. 巣(網)を張らない

アシダカグモは「徘徊性」のクモです。獲物を捕るためのベタベタした「蜘蛛の巣(捕食網)」を部屋の隅や天井に張り巡らせることがありません。そのため、家の中がクモの巣だらけになって掃除が大変…といった心配は無用です。(ただし、移動時や卵を守る際には糸を使います)

3. 衛生的(病原体を媒介しにくい)

蚊やハエ、ゴキブリのように、伝染病などの病原体を積極的に媒介する主要な「衛生害虫」とは考えられていません。もちろん、彼らも外から入ってくるので「無菌」ではありませんが、衛生上のリスクはゴキブリなどと比べると格段に低いとされています。

とはいえ、もちろん「虫が苦手」という方にとっては、益虫だろうと家にいてほしくない存在ですよね。その気持ちはよく分かります。

アシダカグモを論文で調べてみた

アシダカグモの属であるDelenenaは、他のクモには見られない独特の社会的行動を示します。一つの種であるDelenena canceridesは、特にその社会的な生活形態で知られており、最大300個体からなるコロニーが、枯れ木の樹皮の下に共同生活をしています。これらのコロニーは母系であり、一匹の成体のメスと複数の産卵クラッチからの子供で構成されています。この社会構造は特に興味深いことに、他の社会的クモが共同生活のために巣網に依存するのに対し、D. canceridesは巣網を作らず、典型的な網構造なしで密接な物理的近接で生活しています。このクモの社会的行動は、母親によるケアの延長として進化した可能性があり、幼生の遅延した分散が群れ形成に寄与していると考えられます。また、これらのクモはコロニー内での寛容性を示す一方で、他のコロニーのメンバーに対しては攻撃的になることがあり、複雑な社会的ダイナミクスを示しています(Rowell & Avilés, 1995)

遺伝的多様性の面では、D. canceridesは非常に顕著な染色体の多様性を示しています。ある集団は男性の減数分裂で通常の二価体を形成するのに対し、他の集団では染色体の連鎖を形成します。このような染色体の変異は他の種ではほとんど許容されないものですが、D. canceridesはこれらの染色体連鎖を不適切な染色体数を持つ配偶子が生じることなく分離することができます。このユニークな能力により、種全体として広範囲にわたる染色体の変異にもかかわらず、一貫性を維持することができ、種の遺伝子統計学や種分化の可能性に影響を与えます(Sharp & Rowell, 2007)

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アシダカグモの睡眠と寝るときの不安

アシダカグモの睡眠と寝るときの不安

ここまでは、彼らの「寝るとき=日中の休息・潜伏」という生態について見てきました。次は、もう少し科学的な「睡眠」の話と、私たちが抱く不安や対策について整理します。

クモの睡眠や夢に関する最新研究

「そもそもクモって、人間みたいに寝るの?夢とか見るの?」

この素朴な疑問、実は最近とんでもない進展がありました。2022年に、アシダカグモとは別の種類ですが、「ハエトリグモ」(Evarcha arcuata)にレム睡眠に似た状態があることが報告されたんです。

この研究では、ハエトリグモの幼体(体が半透明で内部が観察しやすい)が夜に糸でぶら下がって休んでいる間に、驚くべき現象が観察されました。

  • 人間がレム睡眠中に眼球を動かすように、クモも眼に相当する器官(網膜管)を急速に動かしていた。
  • それと同時に、脚をピクピクとけいれんさせたり、丸めたりする行動が見られた。

この「休息中の周期的な体の動き」と「急速な眼(網膜)の運動」の組み合わせは、まさしく哺乳類や鳥類のレム睡眠(夢を見ているとされる睡眠段階)の特徴とそっくりだったわけです。

(出典:PNAS 『Regularly occurring bouts of retinal movements suggest an REM sleep?like state in jumping spiders』

補足:アシダカグモの場合は?

この研究はあくまでハエトリグモ(昼行性で視覚が発達)のもので、アシダカグモ(夜行性)が同じようにレム睡眠様状態になるかは、現時点では分かっていません。

ただ、人間とは全く異なる進化を遂げた「クモ」にも、レム睡眠に似た複雑な生理現象が存在するかもしれない、という事実は非常に興味深いです。

アシダカグモが日中にじっとしている状態が、単なる待機ではなく、もしかしたら彼らなりの「夢」の時間(あるいは脳の情報整理の時間)である可能性も…なんて想像が膨らみますね。

アシダカグモがいなくなる時とは

「アシダカグモがゴキブリを食べ尽くしたら、家からいなくなる」という話を聞いたことはありませんか?

これは半分本当で、半分は期待しすぎかもしれません。アシダカグモは徘徊性なので、餌(ゴキブリ)が少なくなれば、当然、餌が豊富な別の場所へ移動する可能性は高いです。彼らにとっても、餌のない場所に留まるメリットはありませんからね。

ただし、彼らが「よし、ここのゴキブリは食べ尽くした」と判断して律儀に引っ越してくれる保証はありません。餌が減っても、潜伏に適した安全な環境(=寝床)が確保されていれば、居続けることもあり得ます。

また、餌の量だけでなく、繁殖期や、より良い環境(温度・湿度)を求めて移動することもあると考えられます。

アシダカグモの毒や安全性

家にいるとなると、やはり気になるのが「毒」や「安全性」ですよね。

まず大前提として、アシダカグモは非常に臆病な性格です。人間を見つけると、その巨体からは想像もつかないスピードで一目散に逃げていきます。彼らから積極的に人間を攻撃することは、まずありません。

毒も持っていますが、その毒性は一般的に弱いとされています。主に獲物である昆虫を麻痺させるためのもので、人間のような大きな哺乳類に対して強い毒性は示さないようです。

万が一、防衛のために噛まれたとしても(例えば、素手で掴もうとしたり、服の中に入っているのに気づかず圧迫したりした場合)、多くは局所的な痛みや軽い腫れ程度で、重篤な健康被害につながることはまれと考えられています。

注意点:油断は禁物です

毒が弱いとはいえ、体質によってはアレルギー反応(アナフィラキシー)が出る可能性もゼロではありません。これはハチに刺された場合と同じですね。

特に小さなお子さんやペットがいるご家庭では、不用意に触ったり、素手で捕まえようとしたりするのは絶対に避けてください。

もし噛まれて、強い痛み、激しい腫れ、吐き気、めまいなどの異常を感じた場合は、我慢せず速やかに医療機関(皮膚科や救急)に相談しましょう。

家にいる場合の基本的な対策

「益虫なのは分かったけど、やっぱり一緒には暮らせない!」「あの大きさが無理!」という場合、どうすればいいでしょうか。

最も根本的な対策は、アシダカグモそのものを駆除することではなく、彼らの餌である「ゴキブリ」を減らすことです。つまり、「アシダカグモが住みにくい家」=「ゴキブリが住みにくい家」を目指すのが一番の近道です。

アシダカグモを寄せ付けないための環境づくり

アシダカグモの「食」と「住」を断つアプローチが基本になります。

1. 「食」を断つ:ゴキブリ対策の徹底

これが最も重要です。餌がなければ、アシダカグモが長期滞在する理由はなくなります。

  • 食べ残しや生ゴミを放置しない(密閉容器に入れる)。
  • キッチンの油汚れや食べかすをこまめに掃除する。
  • ゴキブリ用の毒餌(ベイト剤)や粘着シートを設置する。
  • 必要であれば、くん煙剤などで一度リセットする。

2. 「住」を断つ:侵入経路を塞ぐ

アシダカグモもゴキブリも、わずかな隙間から侵入します。

  • 網戸の破れやサッシの隙間をチェックし、隙間テープなどで塞ぐ。
  • エアコンの配管(ドレンホース)に防虫キャップを付ける。
  • 換気扇や通気口にフィルターを付ける。
  • キッチンのシンク下や洗面台下の配管周りの隙間をパテなどで埋める。

3. 「寝床」を断つ:潜伏場所を減らす

彼らが安心して「寝る」場所をなくすことも有効です。

  • 家具の裏や冷蔵庫の下などを定期的に掃除し、ホコリだらけの状態にしない。
  • 不要なダンボールや古新聞を長期間放置しない。(隙間が多く、絶好の隠れ家になります)
  • 物置やクローゼットを整理整頓し、風通しを良くする。

これらの対策は、アシダカグモだけでなく、他の不快な害虫全般の予防にもつながります。家の中の餌(ゴキブリ)が減れば、アシダカグモがその家を「魅力的な狩り場」と見なさなくなり、結果として侵入・滞在する頻度が減ることが期待できます。

まとめ:アシダカグモが寝るときの疑問総括

最後に、「アシダカグモ 寝るとき」という疑問について、この記事のポイントをまとめておきます。

アシダカグモの「寝るとき」に関する疑問は、大きく3つの側面から整理できるかなと思います。

1. 実用的な疑問(どこにいる?)

彼らが「寝るとき」(=日中の休息)は、家具の裏や冷蔵庫の下、壁の隙間など、暗く狭い場所に潜んでいます。そこは彼らにとって、外敵から身を守り、エネルギーを温存するための大切な「寝床」です。

2. 科学的な疑問(どう寝る?)

アシダカグモ自体の睡眠研究はまだありませんが、他のクモ(ハエトリグモ)ではレム睡眠に似た状態が見つかっており、クモにも複雑な休息メカニズムがある可能性が示唆されています。彼らの「じっとしてる」状態も、単なる待機以上の深い休息である可能性はありますね。

3. 不安への回答(どうすべき?)

彼らが家にいるのは、餌(ゴキブリ)がいるサインかもしれません。一方で、彼らはその害虫を駆除してくれる「益虫」でもあります。もし共生が難しい場合は、アシダカグモではなく、餌となるゴキブリの駆除と清掃を優先するのが最も効果的かつ根本的な対策です。

彼らの生態を知ることで、無闇な恐怖が少しでも和らぎ、冷静な対策(あるいは「共生」という選択)につながれば幸いです。

この記事を書いた人
mochan

自動車業界で20年以上、営業・査定士・マネジメントを経験。ブログ歴は15年。話題のニュースや芸能ネタ、社会の“ちょっと気になる話題”を丁寧に調べてわかりやすく発信しています。

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