レナウンの現在|倒産理由は業績悪化に新型コロナが追い打ち

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レナウンの現在|倒産理由は業績悪化に新型コロナが追い打ち

長い歴史を持つ日本のアパレル企業、レナウンは、かつては世界的なブランドとしてその名を轟かせました。しかし、2020年に突然の倒産を迎えることとなりました。この倒産は、業界全体の構造的不況に加え、新型コロナウイルスのパンデミックが追い打ちをかけた結果でした。本記事では、レナウンの栄光と挫折の歴史を振り返り、その倒産の真の理由を探ります。レナウンが辿った道のりと、アパレル業界全体が抱える課題について詳しく解説します。

レナウン管財ホームページ

記事のポイント

  • 創業から栄光の時代までのレナウンの歴史
  • レナウン娘のCMヒットとブランドの確立
  • 世界最大の売上高を誇った全盛期
  • バブル崩壊後の経営難と市場の変化
  • 新型コロナウイルスが引き起こした経営破綻
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レナウンの現在|倒産理由の業績悪化までの歴史

レナウンの現在|倒産理由は業績悪化に新型コロナが追い打ち

レナウンの歴史

創業

レナウン株式会社の創業は、1902年(明治35年)に遡ります。創業者である佐々木八十八氏が大阪で衣料品の販売を手掛ける「佐々木商会」を設立したことから始まりました。当初は衣料品の販売を主にしていましたが、後にメリヤスを中心とした繊維商品の製造も手掛けるようになり、1923年(大正12年)から「レナウン」という商標を登録し使用し始めました。社名の由来は、1922年1月に訪日したイギリス皇太子(後のエドワード8世)の巡洋戦艦レナウンの名前に由来しています。レナウンは戦後の復興期においても、日本国内外で高品質な繊維製品を提供し続け、その名を広く知られることとなりました 。

レナウン娘のCMがヒット

レナウンの現在|倒産理由は業績悪化に新型コロナが追い打ち

レナウンは1960年代に入り、特に若い女性向け衣料品メーカーとして人気を博しました。その一助となったのが、NETテレビ(現:テレビ朝日)の『日曜洋画劇場』のスポンサーとして放送されたCMです。特に小林亜星作曲によるCMソング「レナウン娘」と「イエイエ」は大ヒットとなりました。弘田三枝子が歌う「ワンサカ娘」のプロモーションは、ポップなファッショナブルさを前面に押し出した内容で、日本国外のCM作品賞を受賞するなど、日本のCM制作レベルを国際級に押し上げたと評されています。また、朱里エイコが歌う「イエイエ」のCMはレナウン初のカラーCMであり、1967年は「CM元年」と呼ばれるほど広告界に大きな影響を与えました 。

このCMキャンペーンは、単に商品の認知度を高めるだけでなく、ブランドの若々しさと革新性を強調する役割も果たしました。テレビ広告の効果が絶大であったこの時代において、レナウンは一躍、若者文化の象徴となり、ファッション業界においても独自の地位を築くことに成功しました。

世界最大の売上高

レナウンの現在|倒産理由は業績悪化に新型コロナが追い打ち

1969年(昭和44年)より「アーノルドパーマー」ブランドを日本に投入し、ヤング・レディースからファミリー向けに商品展開を行い、1980年代まで基幹ブランドとして同社を支えました。また、「ダーバン」ブランドは1970年代にフランスの俳優アラン・ドロンを起用したTVCMが人気を博しました。1980年代には、CMのサウンドロゴに電子音を用いるなど、革新的な試みも行われました 。

1980年代には、アパレルメーカーとして世界最大の売上高を誇るまでに成長しました。1989年には売上高が2,000億円を超え、日本国内外でその名を轟かせました。この成功の背景には、国内外の市場での積極的な展開や、多様なブランドラインの開発、そして斬新なマーケティング戦略がありました。特に、アーノルドパーマーやダーバンなどのブランドは、幅広い世代から支持を受け、ファッションのトレンドをリードする存在となりました 。

バブル崩壊の影響

しかし、バブル崩壊後、レナウンは苦境に立たされました。バブル期に行った物流施設への大規模投資の負担に加え、ファストファッションの台頭や百貨店自体の低迷から、販売手法が時代に合わなくなり、業績は大きく低迷しました。また、新しい若い女性向けのブランドが育たなかったこともあり、1990年代には業績が大きく下がり、経営は困難を極めました。1990年には英国の名門ブランド「アクアスキュータム」を買収するも、経営難を克服することはできず、2000年には本社を原宿から渋谷へ、さらに2003年には千葉県習志野市へ移転を余儀なくされました 。

この時期、レナウンは多くの課題に直面しました。バブル崩壊により、消費者の購買意欲が減退し、高価格帯の商品が売れなくなったため、売上は急激に落ち込みました。さらに、ファストファッションブランドの登場により、消費者の嗜好が大きく変化し、従来のビジネスモデルが通用しなくなりました。これらの要因が重なり、レナウンは大幅なリストラや事業再編を余儀なくされました 。

中国企業の子会社に

2010年、レナウンは経営再建の一環として中国の山東如意科技集団と資本業務提携を締結し、第三者割当増資を実施しました。これにより、山東如意科技集団がレナウンの筆頭株主となり、レナウンは同社の連結子会社となりました。その後、2013年には山東如意の親会社である済寧如意投資を引き受け先に第三者割当増資を実施し、約29億円の出資を受けました 。

この資本提携により、レナウンは中国市場への進出を加速させ、アジア全体での市場シェア拡大を目指しました。また、山東如意の強力な資金力を背景に、レナウンは新たなブランド展開や製品開発を進めることができました。しかし、同時に中国企業との文化や経営スタイルの違いも浮き彫りとなり、企業統治や意思決定のプロセスにおいて様々な課題が生じました 。

倒産・経営破綻

レナウンの現在|倒産理由は業績悪化に新型コロナが追い打ち

しかし、米中貿易戦争の影響により、山東如意グループからの売掛金の回収が滞り、2019年には約53億円の貸倒引当金を計上する事態に陥りました。その直後に新型コロナウイルスの世界的な流行が重なり、業績は急速に悪化しました。2020年5月15日、レナウンは民事再生法の適用を申請し、上場企業で初となるコロナ関連倒産となりました。その後、再建を目指しましたが、条件面で折り合いがつかず、2020年10月30日に民事再生手続廃止が決定され、同年11月27日に破産手続開始が決定しました 。

この破綻の背景には、複数の要因が絡んでいます。まず、米中貿易戦争による経済的不確実性が、レナウンの財務状況に直接的な悪影響を及ぼしました。さらに、山東如意グループとの関係悪化により、資金繰りが逼迫し、経営再建の余地が限られていました。そして、新型コロナウイルスのパンデミックが決定打となり、店舗の閉鎖や消費の落ち込みが収益に直撃しました 。

ダーバンの現在はどうなっている?

レナウンの主力ブランドの一つである「ダーバン」は、2020年のレナウン破産手続の過程で大阪の小泉グループに譲渡されました。現在、「ダーバン」ブランドは小泉グループ傘下で再び展開されています。レナウンの破産により一時はブランド存続が危ぶまれましたが、小泉グループの支援によりブランドの再生が図られています 。

「ダーバン」は、小泉グループのもとで新たなマーケティング戦略や商品ラインの拡充を進めています。特に、若年層向けのカジュアルラインの導入や、オンライン販売の強化など、時代のニーズに合わせた変革が進行中です。また、品質へのこだわりや伝統を尊重しつつも、現代的なデザインを取り入れることで、再びファッション業界においてその地位を確立しつつあります 。

このようにして、レナウンとそのブランドは、その波乱万丈な歴史を経て、新たなステージへと歩みを進めています。今後も、変化する市場環境に対応しながら、ブランド価値の向上を目指していくことが期待されます。

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レナウンの倒産理由は現在のアパレル業界全体の不況?

レナウンの現在|倒産理由は業績悪化に新型コロナが追い打ち

アパレル業界自体の構造不況の影響

レナウンの倒産は、アパレル業界全体の構造不況の影響を大きく受けたものです。日本のアパレル業界は、1990年代のバブル崩壊以降、長期間にわたる低迷期に突入しました。多くの企業が高コスト構造から抜け出せず、利益率の低下に悩まされました。これに加えて、ファストファッションの台頭が既存のアパレル企業に大きな打撃を与えました。ユニクロ、H&M、ZARAといったブランドが市場シェアを急速に拡大し、高品質かつ低価格な商品を提供することで、伝統的なアパレル企業の競争力を著しく削いだのです​​。

これらのファストファッションブランドは、高度に効率化されたサプライチェーンと大量生産を武器に、消費者のニーズに迅速に対応できる体制を整えていました。これに対して、レナウンを含む従来のアパレル企業は、販売手法や生産体制が時代に合わなくなり、競争力を失っていきました。特に、若年層向けの新しいブランドを育てることができなかったことが、業績低迷の一因となりました​​​​。

また、百貨店を主要販路とするアパレルブランドにとって、百貨店の衰退も大きな痛手でした。2000年代以降、百貨店の売上は年々減少し、店舗閉鎖や規模縮小が相次ぎました。百貨店ビジネスは高コスト体質であり、特に「消化仕入れ」(商品の売り上げと同時に仕入れを計上する仕組み)などの特殊な商慣習が残っており、これがアパレルメーカーにとって大きな負担となっていました​​。

さらに、デジタル化の遅れもアパレル業界全体の問題として浮上しました。多くの企業がオンライン販売やSNSマーケティングの重要性を認識しながらも、従来の店舗販売に依存し続ける経営方針を変更できずにいたのです。特にレナウンは、デジタルプロモーションやECサイトの活用に消極的であったため、若い世代の消費者との接点を失ってしまいました​​。

新型コロナが元々の業績悪化の追い打ちに

レナウンの業績は既に厳しい状況にありましたが、新型コロナウイルスのパンデミックは決定的な打撃を与えました。2020年初頭から始まったコロナ禍により、全国の百貨店やショッピングセンターが一斉に休業し、レナウンの主要販路が一時的に完全に閉ざされました。これにより、同社の売上は急減し、資金繰りが極度に悪化しました​​。

2020年4月、レナウンの売上高は前年同月比81.0%減と大幅に落ち込みました。特に緊急事態宣言が発出されたことで、多くの店舗が休業を余儀なくされ、売上はほぼゼロに近い状態となりました。この時点で、レナウンは手元資金の枯渇に直面し、経営危機を迎えることになりました​​。

さらに、親会社である中国の山東如意科技集団からの資金支援も滞る中で、経営再建は困難を極めました。米中貿易戦争の影響で、山東如意グループからの売掛金の回収が滞り、レナウンは約53億円の貸倒引当金を計上する事態に陥りました。このため、資金繰りの悪化は避けられず、結果的に民事再生法の適用を申請するに至ったのです​​。

新型コロナウイルスの影響は、ただ単に売上減少を引き起こしただけではありません。消費者の行動様式が大きく変わり、オンラインショッピングへの移行が一層加速しました。これに対応できなかった企業は、従来のビジネスモデルの見直しを迫られましたが、レナウンはこの変化に対応しきれませんでした​​。

加えて、レナウンの再建を目指したスポンサー探しも難航しました。新型コロナの長期化を見据えて、多くの企業がリスクを避けるために買収を見送ったためです。結果として、レナウンは包括的に買い取るスポンサーを見つけることができず、ブランドを個別に売却するしかありませんでした​​。

総じて、レナウンの倒産は単なる経営ミスや一時的な景気の変動によるものではなく、アパレル業界全体が直面する構造的な問題と、それに追い打ちをかけた新型コロナウイルスの影響が重なった結果であると言えます。これにより、レナウンという長い歴史を持つ企業は、ついに経営破綻へと追い込まれました​​。

総括:レナウンの現在と倒産理由は新型コロナに関する本記事まとめ

レナウンの倒産は、複数の要因が複雑に絡み合った結果です。本記事では、レナウンの歴史から倒産に至るまでの詳細を探りましたが、最終的には以下のポイントが主要な要因として浮かび上がりました。

レナウンの歴史

  • 創業: 1902年に佐々木八十八氏が大阪で設立した「佐々木商会」が始まり。後に「レナウン」と改称。
  • レナウン娘のCM: 1960年代のCMキャンペーンが大ヒットし、若い世代からの支持を獲得。
  • 世界最大の売上高: 1980年代にアパレルメーカーとして世界最大の売上高を誇るまで成長。

アパレル業界全体の構造不況

  • ファストファッションの台頭: ユニクロやH&Mなどが市場シェアを拡大し、伝統的なアパレル企業の競争力を削いだ。
  • 百貨店の衰退: 百貨店ビジネスの低迷がアパレルメーカーに大きな負担を強いた。
  • デジタル化の遅れ: オンライン販売やSNSマーケティングに対応できなかったため、若い世代の消費者との接点を失った。

新型コロナウイルスの影響

  • 売上の急減: 百貨店やショッピングセンターの休業により、売上が急激に減少。
  • 資金繰りの悪化: 新型コロナの影響で資金繰りが極度に悪化し、経営危機に直面。
  • オンラインショッピングの加速: 消費者の行動様式が変わり、オンラインショッピングへの移行が加速。これに対応できなかったことが致命的な打撃となった。
  • スポンサー探しの難航: コロナ禍の長期化を見据え、買収リスクを避ける企業が多く、包括的な再建スポンサーを見つけることが困難に。

総括

  • 構造的な問題: レナウンの倒産はアパレル業界全体の構造的な問題が根底にあり、ファストファッションの台頭や百貨店の衰退、デジタル化の遅れが大きな要因となった。
  • 新型コロナウイルスの追い打ち: 既存の業績悪化に新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけ、最終的には経営破綻に至った。
  • 未来への教訓: レナウンの倒産は、アパレル業界において柔軟なビジネスモデルとデジタル化の重要性を再認識させるものとなった。

レナウンの倒産は一企業の問題にとどまらず、アパレル業界全体が抱える課題を浮き彫りにしました。業界全体が直面する構造的な問題と、新型コロナウイルスによる急激な環境変化への対応力が企業存続の鍵となることを示しています。

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